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2015.03.25
3月18日、FOMCでは、声明から利上げに「忍耐強くなれる」(patient)との表現を削除しました。市場関係者は何か月も前から、このpatientの削除時期を今か今かと待っていましたが、この文言の削除が即impatient(我慢できない)となる可能性がないことが今回の声明では示されています。
今回の声明を受けて、利上げの後ろ倒しを予測した市場関係者からの円買い・ドル売りが進み、一時119円台後半の円高に。対ドルでのユーロ高影響から、ユーロに対しては円安・ユーロ高に振れました。
Patientの文言削除だけを取り上げてみると、米利上げは今年6月になるということができそうですが、今回のFOMC発表を受けて、市場関係者による利上げ予測は今年6月から9月へと後ずれすることとなりました。それは、文言変更以上に、FOMCの米景気情勢への慎重姿勢が影響しているためです。
イエレン議長は、円高による輸出企業への打撃から、米経済の景気鈍化懸念を表明。また、インフレ率も目標とする2%に届かず、日本や欧州のような低インフレへの懸念も表明しました。現在の2015年インフレ率の見通しは中心的な指標で1%を下回り、エネルギーや食料品を除いた指数においても1.3%程度と、目標よりはるかに下振れしています。
また、完全雇用の指標である失業率の水準が5.2~5.5%(昨年12月)であったところ、今回は、5.0~5.2%に引き下げられました。雇用は堅調であるものの、これ以上の雇用が進まなければ、賃金押し上げに連なる景気回復にはならないとFOMCが考えていることの証左であると言えます。
今回の発表を受けて、市場関係者は9月利上げを予測して動くことになりそうです。
とはいえ、世界的な量的金融緩和の中でのドル高は避けられないものである以上、FOMCが自信を持って利上げできるだけの個人消費や景気回復の実現はなかなか難しいものとなりそうです。ただ、利上げが後手に回った場合の米経済リスクを考えると、利上げのこれ以上の後ろ倒しも難しく、いずれにしてもFOMCは難しいかじ取りを迫られることになりそうです。